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【新・関西笑談】あこがれの果実の味は(2)(産経新聞)

 □ブルーベリーフィールズ紀伊國屋社長 岩田康子さん

 ■本を頼りに栽培スタート 無農薬にこだわるも雑草畑に…。

 --ここまでは駅から遠く、山道も狭くて心細い。でも、たどり着くと素晴らしい眺望と澄んだ空気に引きつけられます

 岩田 そうでしょう。山の景色を見て、これからの人生は自然の恵みを受けて生きようと決めたんです。でも、決して順調ではありませんでした。よそ者で、子連れで女性なのに農業をやろうなんて。当たり前ですが、最初は「道を通るな」「水をとるな」というような状態で受け入れられませんでした。

 --希少だったブルーベリーの栽培技術を指導してくれる人はいたのですか

 岩田 近畿では栽培例がなく、専門書の置いてある大きな書店でブルーベリーの栽培方法が載っていた、たった1冊の本を買いました。そこには〈栽培には酸性土壌が適し、低木に実がなる〉と記され、初めて「ブルーベリーは木なんだ」とわかる程度の知識しかありませんでした。県の農業指導者に教えてもらって、京都府立大に1本だけあるという木を見に行くようなところからのスタートでした。

 --水煮缶以外は見たことも食べたこともない果実を栽培しようなんて…。チャレンジャーですね

 岩田 本には1キロ1500円~3千円で取引されていると書いてあり、私の目には3千円の数字しか入らなかったですね。1トン収穫すれば、年収300万円。子供2人と食べていける! あのときは、すごい果実を見つけたって思いこんでいました。

 --なんて前向きな…。しかも無農薬、無除草剤にこだわったとか

 岩田 35歳までお金を出せば、何でも手に入る生活でしたし、子育て中の母親として農薬とか添加物とか、できればない方がいいと思っていました。農作業の大変さも知らずに思っていたことだけど、消費者から生産者に立場が変わっただけで考え方を変えるのはおかしいでしょう? 貫くのは大変でしたが、そのおかげで、平成14年には有機食品のJAS(日本農林規格)認定を受けることができました。

 --雑草とか害虫被害は

 岩田 あっという間に雑草畑になりました。ただ、この土地は酸性土壌で向いていたのか、病気にはほとんどかかりませんでしたね。雑草は草刈り機がうまく使えなくて、朝から晩までしゃがんで、へとへとになりながら草引きをしていました。でも、あるときに雑草が長い根を畑じゅうに張っていることに気が付いたんです。

 --どういうことですか

 岩田 私のくわが届かず、耕しきれなかった深い土中やほぐせなかった固い土のかたまりも、雑草の根が伸びて耕してくれていたんです。刈った草の根は地中に残りますが、それもやがて枯れて、土の栄養分になります。大きな営みを見ていたら、この自然に殉じて生きていこうと思えました。そういうことに気づいたことが、結果的に有機栽培の農園と認められることにつながっていったのでしょう。(聞き手 石川有紀)

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